『刑事コロンボ読本』様々な角度から”コロンボ”に追及した1冊

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複雑に入り組んだ刑事コロンボに鋭いメスを入れ、さまざまな謎や疑問を徹底的に究明する……みたいな、「探〇ナイ〇スクープ」の紹介文が似合う1冊になっています。まず、刑事コロンボ読本となっていますが、それぞれのエピソード解説はありません。

刑事コロンボの誕生~制作状況~日本でのヒット~ノベライズ化。と一連の流れを、膨大なデータや貴重なインタビューと共に追って行くという、”裏側”を知ることができる本です。

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ここが見どころ!

〇刑事コロンボの誕生。制作状況やそれに携わったスタッフたち。ある意味幸運だった年代。

〇1974年~日本での大ブームについて膨大なデータと追っていく。当時の熱狂ぶりが垣間見える。

〇刑事コロンボが、後の倒叙作品に与えた影響。推理作家・脚本家のインタビュー。

データ

タイトル:刑事コロンボ読本

編者:町田暁雄

発行人:江澤隆志

発行所:株式会社 洋泉社

書版発行:2018年12月26日

ページ数:320P

外観や表紙裏

第1章『刑事コロンボの骨格』

P2~5 目次  

P6~P12 まえがき 文:町田暁雄
コロンボが完成するまでの流れ、舞台から地上波へ。

P13~P27 名犯人登場!~倒叙ミステリの系譜~ 文:小山正
倒叙形式について、基本的な紹介。コロンボ以外の倒叙ミステリーで、代表的な作品紹介。(海外から日本)
1.いかに犯罪を暴くのか?
2.名犯人登場
3.F・W・クロイツとロイ・ヴィッカーズ
4.ジャンルとメディアを超えて
5.「刑事コロンボ」への道

P28~P47 『ネーム・オブ・ザ・ゲーム』と『刑事コロンボ』-あるいはTVムーヴィの”凱旋”について 文:町田暁雄
アメリカで、どういったテレビ放送枠で放映されたのか?刑事コロンボ以外のドラマタイトルなど。
1.TVムーヴィーの誕生と発展
2.『ネーム・オブ・ザ・ゲーム』①
3.        〃     ②
4.『NBCミステリ・ムーヴィー』と”ホイール方式”

P48~P77 シナリオの変遷で見る『刑事コロンボ』の流れ 文:町田暁雄
脚本家、監督、スタッフに焦点を当てた説明。撮影時の時代状況など。全米脚本家組合の大ストライキによってコロンボのとあるエピソードが完成したなど、時代背景にある話が載っている。
1.2つのTVムーヴィ~殺人処方箋」と「死者の身代金」(1968年~1971年)
2.第1シーズン~〈倒叙ミステリ〉基本形の確立と可能性の追求(1971年~1972年)
3.第2シーズン~中興の祖ハーグロ―ヴと”ツイスト”の試み(1972年~1973年)
4.第3シーズン~シリーズ最大の危機と”ドラマ性”の獲得(1973年~1974年)
5.第4シーズン~洗練と6つの新たなスタンダード(1974年~1975年)
第5シーズン~”いつもと違うコロンボ”と曲がり角を迎えたシリーズマンネリ化を防ぐ工夫(1975年~1976年)
第6シーズン~契約更新と新プロデューサー・シモンズの参加(1976年~1977年)
第7シーズン~TVMへの回帰とエモーショナルな『コロンボ』(1977年~1978年)

P78~P96 『刑事コロンボ』の音楽 文:町田暁雄
音楽家たちの紹介と主な経歴。オープニングや劇中の彩ったBGMたち。メロディが引用されているエピソード。どういった場面でどういう目的で音楽が使用されていたか?エピソード毎のコンセプト。
1.2つのTVムーヴィー(1968年~1971年)
2.第1シーズン(1971年~1972年)
3.第2シーズン(1972年~1973年)
4.第3シーズン(1973年~1974年)
5.第4シーズン(1974年~1975年)
6.第5シーズン(1975年~1976年)
7.第6シーズン(1976年~1977年)
8.第7シーズン(1977年~1978年)

第2章『刑事コロンボ』NHK放映の時代

P97~P131 『刑事コロンボ』1974年の大ブームを考える 文:町田暁雄
日本でコロンボが放映された当初の状況。その際に評論で語られた記事の一部抜粋紹介。野球中継が優先された時代であり、その際の今ではびっくりなエピソード。事件の影響での、放送が送れるなど。
1.1972年(日本上陸)から1973年(大ヒット前夜)まで
2.1974年の大ブーム※その1(放送の概要)
3.    〃   ※その2(視聴率)
4.    〃   ※その3(社会現象)
5.その後(1975年~1981年)

P132~P153 コロンボ1974 座談会 青井邦夫、加藤義彦、香納諒一、誉田龍一、町田暁雄
旧コロンボがテレビ放送されていたのを、生で見ていた方々(当時:小学6年~高校生3年)の談話。当時、他に流行っていたドラマや番組について。CMやお笑いではコロンボをマネする人が多かった。コロンボが後々に影響を与えていったであろう物事を感じることができた年代。倒叙の魅力や、コロンボが流行った理由を考察。
●誰でもモノマネ
●うちのカミさん
●憧れのチリ
●日本の刑事ドラマへの影響
●小池朝雄の存在感
●メディアの『コロンボ』
●「二枚のドガの絵」症候群
●大ヒットの要因
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第3章『刑事コロンボ』のノベライズ

P154~P157 小説版『刑事コロンボ』刊行の流れについて 文:町田暁雄
日本ではどういった時期に小説版が発売されたのか?

P160~P181 鼎談ノベライズ『刑事コロンボ』の時代 浜崎慶治、大倉崇裕、町田暁雄
P161.9行目大倉氏「犯人にとっても読者にとっても、謎はコロンボ警部なんですけどね」本の帯文句はここか?
アメリカの刑事コロンボの小説は興ざめ。日本で小説にする際、鉄の掟、書き手の選出方法。
●ノベライズの作り方
●《コロンボ談義》と《私のコロンボ》
●よき相棒との巡り逢い
●さまざまな作家たちに原稿依頼
●翻訳”大倉崇裕”

P182~P191 石川三登志とノヴェライズ概論 文:早見慎司
石川三登志が考えた、ノヴェライズを作るにあたり、3つの決まり事。巻末の談義相手の選び方。

P192~P199 『刑事コロンボ』のノヴェライズと『コロンボ談義』 文:町田暁雄
豪華な対談相手。手塚治虫、黒柳徹子、小池朝雄との対談記事。

P200~P212 コロンボ談義-横溝正史VS石川三登志- 2人の談義:1974年11月30日「刑事コロンボ11-別れのワイン」の記事全文。
●金田一耕助VSコロンボ警部
●名探偵の周辺

第4章『刑事コロンボ』の影響と後継作品たち

P213~P223 日本で普及した倒叙ミステリドラマ 文:千街昌弘

P224~P235 鮎川哲也の倒叙短編と『チェックメイト78』
-本格ミステリとしての『刑事コロンボ』
文:飯城勇三
小説家:鮎川哲也の概要。日本における倒叙を牽引してきた人物。主な著書紹介。
1.鮎川哲也
2.倒叙短編
3.『チェックメイト78』
4.本格ミステリ
5.「青いエチュード」

P236~P239 『チェックメイト78』と原案作品の比較 文:飯城勇三
ドラマ『チェックメイト78』は、鮎川哲也のどの原案か?

P240~P249 『チェックメイト78』プロデューサー・中山和記インタビュー 聞き手・構成:町田暁雄
どういったドラマにしていきたいと考えていたのか?

P250~P265 「福家警部補」シリーズ対談 大倉崇裕&町田暁雄 司会:若林踏/構成:編集部
女性版刑事コロンボとも称される、福家警部補が完成するまでの紹介。作品完成までの協力者には、町田暁雄氏がおりネタの提供なども行っていた。大倉氏が町田氏とどういった経緯で知り合ったのかなど。
●「コロンボ」倒叙ネタ帳
●トリックが小説になるとき
●謎の探偵誕生
●映像と文章の違い
●『コロンボ』との違い
●『コロンボ』と特撮のスパイス
●『コロンボ』の先へ

P266~P281 『古畑任三郎』対談 脚本家・三谷幸喜&プロデューサー・石原隆 聞き手:町田暁雄/構成:編集部
古畑任三郎が完成するまで。三谷幸喜氏がコロンボと出会ったとき、二次創作の原点である。どういった心意気で書き上げたのか?脚本作りの際の考え方。
●『コロンボ』初体験
●『コロンボ』二次創作
●『古畑任三郎』の始まり
●異例のホン作り
●第2シーズンからの爆発
●『コロンボ』との相違
●トリックよりロジック

あとがきと巻末

P282~P290 あとがき 文:町田暁雄
コロンボの名前の由来が判明。ここまで、ここを過ぎず。

P291~P317 『刑事コロンボ』〈旧シリーズ〉全エピソードリスト あらすじ、スタッフ、キャスト紹介。

P318~P319 制作に携わった方々紹介  

P320 映画秘宝selection(他映画解説書の紹介)  
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まとめ

いらっしゃらないかと思いますが、「刑事コロンボ」そのものに対しての情報が欲しい方には、不必要な情報も掲載されています。上記主なページ紹介を参照していただくと、P200~は刑事コロンボに影響を受けた小説家・脚本家のインタビューや作品紹介になっています。他作品に興味がもてない方は流し読みしてしまう箇所かもしれません……、いらっしゃらないと思いますが。どういった経緯でコロンボと出会ったのかということが書いてあり、楽しいです。

刑事コロンボが誕生するまでのアメリカでの出来事、日本における爆発的とまでは行かなかった当初の放送。その後の普及者たちの活躍により、徐々に広く知られ愛される警部となっていく。わたしは当時のコロンボの人気は知りませんでした。談義のページでは、当時の熱を感じることができる著書になっています。(新コロンボの扱いが酷いのは内緒)

以上、「刑事コロンボ読本」でした。

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